トイレを流すとグリストラップに逆流してしまう!
今回は「排水管のつまりによってトイレの汚水がグリストラップに逆流してくる」というトラブルを解消したときの事例をご紹介します。
夜の10時過ぎに緊急のご依頼をいただき東京都港区赤坂の飲食店舗様へ伺いました。和食系の居酒屋さんです。飲み屋さんが連なる通りにある店舗様で、金曜日の夜ということもあるのか人通りがとても多かったですね。
症状はというと、客用トイレを流すとグリストラップに逆流してくる状況です。トイレもグリストラップもすべて詰まってしまって使えないという緊急事態でした。
グリストラップがつまっている状況では厨房の洗い物などが出来ませんし、トイレもつまって使えないとなると一般のお客さんにとっても不便です。
しかし何よりも一番きついことは、「トイレの汚物がグリストラップに逆流してくる」ことでしょう。衛生的に何としても避けたい、一刻も早く解決するべきトラブルです。厨房の床から汚物が逆流してくるなんて考えたくないですよね。
電動ワイヤーを入れてつまり除去作業開始
さっそく作業を開始します。
地下の店舗なのでトイレやグリストラップの排水は「排水槽」に流れ込む仕組みになっているはずです。排水槽とは排水を一箇所に集めてポンプで地上に汲み上げるための地下水槽です。
※排水槽については下の事例で少し詳しく解説しています。
-
赤坂の焼鳥屋グリストラップ詰まりをトーラーと高圧洗浄にて解決
東京都港区赤坂にある焼鳥屋さんから、グリストラップの流れが悪いということでご依頼をいただきました。 ビルの地下にある店舗で、グリストラップは深型の大きいサイズです。 まずトーラー(電動ワイヤー)作業を ...
位置的にはグリストラップの方が排水槽に近い位置にありましたので、グリストラップ側から電動ワイヤーを入れていく作業を行いました。
5~7mほどの地点でつまりが解消され水が流れ出しました。
つまりの主原因は「ペーパータオル」や「金だわしの破片」などのゴミだったようです。引き戻したワイヤーに絡みついていました。
つまりを除去したあと、厨房とトイレの水を同時に流して流れ具合を確認してみます。問題なく排水されるように改善されていました。
なぜトイレの汚水がグリストラップに逆流してくるのか?
こちらの店舗様のように「トイレの排水がグリストラップに逆流してくる」というトラブルは、割合としては少ないですが発生します。
意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、トイレの汚水と厨房の排水はいずれどこかで合流する構造になっています。ただ、その合流地点がどこなのかは店舗や建物によってまちまちです。店舗客席の床下で合流している場合もありますし、公共下水道に接続されるすぐ手前で合流する場合もあります(この方式が一般的です)。
大前提として、なるだけ先のほう(公共下水に近いほう)で合流するほうが望ましいです。一般的には厨房排水とトイレ汚水は別々の配管に分かれて組まれるようになっていますが、設備コストの問題などもあるのか、小規模の店舗だと一本の配管にすぐに合流させる場合もあるようです。
以下の図はかなり簡略化したものですが、参考までに視覚化してみました。
左側のようにトイレとグリストラップが別々の系統で公共下水に合流するのが理想的です。トイレが詰まってもグリストラップに影響を与えませんし、逆も然りです。
しかし右側のように公共下水よりもずっと手前で排水管が合流するような構造の場合、図の赤字で示した地点で詰まりが発生してしまうとトイレとグリストラップ、両方に影響を与えてしまいます。トイレからの排水は行き場をふさがれ、グリストラップに逆流することがあります。
今回の店舗様は、次の3つの条件が重なってしまったために、トイレの汚水がグリストラップに逆流してくるというトラブルが発生したと思われます。
- 厨房排水とトイレ汚水が、別々の槽ではなく同じ排水槽に流入するという方式だった。(別々の槽だったら片方のつまりで済んだ)
- 排水槽の手前でトイレとグリストラップの排水管が一つに合流している構造だった。(合流せず別々の配管だったら片方のつまりで済んだ)
- その合流地点でつまりが発生してしまった。(トイレもグリストラップも両方つまった)
また、このような詰まりが発生する原因としては大きく2つがあると思います。
- 厨房排水に含まれる油脂系の汚れが排水管に付着することによるつまり
- トイレから流された汚物・ペーパー・異物などによる一時的なつまり
油脂汚れによるつまりは、定期的に高圧洗浄などを行っていれば防ぐことができます。しかしトイレからの異物などによる一時的なつまりは、なかなか防ぐのが難しいと思います。
飲食店では不特定多数のお客さんがいらっしゃいます。これまで経験した範囲でいうと、つまようじがケースごと流されていたり、トイレットペーパーの芯だったり、掃除用のブラシだったり、手拭きタオルだったりと、いろいろなものが便器から流されてしまった現場に遭遇してきました。便器内で詰まっているならば便器を外せば取り出せますが、排水管に流れ込んでその奥で詰まってしまうと事態は大ごとになります。
飲食店のスタッフさんは、トイレといいグリストラップといい、水周りで苦労されることが多いのではないかと思います。そういったときに力になれるよう、いざというときにはお役に立てるよう、私たちのような業者は存在しなければならないと思います。